風はまだ冷たいですが、陽ざしはすっかり春の陽気です。水面(みなも)の陽光がキラキラと光っています。
新型コロナウィルスの影響で、世界の景気の悪化が心配です。今年に入ってすでに2回書きましたが、サラリーマンの給料のアップは今年もあまり期待出来そうにもありません。賃上げには逆風が強く吹いてきました。賃上げ交渉のニュースが少し前から流れだしましたが、今年は少し驚きました。トヨタ自動車や三菱UFG銀行といった、日本を代表する企業の労働組合から「成果反映型」の賃上げ要求が出たのです。
今まで何回か、「一律ほど不公平な事はない」と言ってきました。従来型の賃上げ要求はこのスタイルでした。しかし、一律ほど不公平で理不尽なことはないのです。優秀な社員や、やる気のある社員にとって、一律ほどモチベーションを落とすものなのです。いくら頑張っても、給与や賞与に反映されにくいのです。現実には査定(勤務評価)の制度もありますが、その差はわずかなものです。優秀な社員には、不満が残ります。この様な声を労働組合も反映させたのでしようか。組合の要求では、給料で1.5倍程度の差が付く可能性もあるとの事です。時代の変化を感じます。
サラリーマンの給料は長い間あまり上がっていません。この要因のひとつに労働組合があると思います。民間企業の労働組合は、ほとんどが企業内組合です。これが、業界別に連合体の形で組織化されています。例えば、自動車産業や電機産業などの産業別の連合体です。ひとつには、労働組合の弱体化があると思います。日本独特の企業内組合は、「会社との運命共同体」なので、「もの分かりの良い組合」が増えた結果とも言えます。
昭和の半ばまで、行われた「ストライキ」などはもう死語になってしまいました。労働組合の存在意義も変わってきたと思います。従来型の終身雇用や年功序列賃金といったものが、今の日本では限界にきたのだと思います。ただ、古い体質と全否定する積りはありません。長く働くことによって、将来の展望が持てました。先輩たちの暮らしぶりを見ることによって、自分もあのくらいの歳になればあのような生活が出来るのだと、描くことも出来たのです。
「先が見える」ことほど、安心なことはありません。昔の制度はこの様に先が見えたのです。しかし、これからは、成果主義が主となり自分の将来は自分で切り開いていく時代になったようです。ただ、成果主義にも課題があります。ひとつは、個人の成果を優先するあまり、あのアメリカのおバカ大統領の様に「自分ファースト」という個人主義になってしまう事です。日本人が大切にしてきた「和」というものが失われていくような気がします。「和を以て貴しとなす」という日本の伝統は守っていきたいものです。
もうひとつの課題(懸念)は、成果を評価する仕組みが確立出来ているかどうかです。成果はすべて数字で表せるものとは限りません。人による評価の部分も残ります。ここは、公正で公平な評価がなされなければなりません。また、今回の新型ウィルスなど、本人以外の外部要因による成果未達成の場合の救済措置も必要でしょう。働いた成果が正しく反映された「がんばれば報われる」仕組みを作ることが、「本当の働き方改革」ではないでしょうか。
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