奈良県や京都府南部は田植えが遅い地方です。ため池にこんな表示が出る季節になりました。田んぼも水を入れる準備のまっ最中です。
コロナ騒動で一躍脚光を浴びたのが、テレワーク(在宅勤務)やオンライン授業などICTを利用した仕事や学習の仕組みです。外出自粛という事で、自宅で仕事や学習を行うという試みが、ほぼぶっつけ本番で行われました。外出を自粛する手段としては大きな効果があったと思います。まだコロナが完全に終息しているわけではありませんが、見えてきたさまざまな課題を考えてみたいと思います。
オンライン申請
ひとり10万円の個人給付金のオンライン申請の仕組みをテレビで解説しているのを見て、日本のICT技術のレベルの低さを改めて感じました。申請窓口は1本ですが、そこから各市町村にデータが送られます。ここで、市町村とのデータベース(住民基本台帳など)とは連携していないので、市町村の職員がふたり1組になって、住民基本台帳のデータと目視による手作業で照合しているのだそうです。従って、処理能力に限界があり、市役所から郵送されてくる書類で提出した方が早いケースもあるようです。中には、この様に手間が掛かるので、オンラインでの申請を受け付け中止にしたところも出てきました。
また、電子署名が必要な為、署名用のパスワード忘れの為に、再設定するために大勢の人が市役所にならんでいるのが、ニュースで流れました。この電子署名などは電子納税をしている人くらいしか使用していないので、マイナンバーカードをもっていても、ほとんどの人は使っていないのが原因だと思います。ただ「オンライン申請」とだけ宣伝してこのあたりの事前説明も不足していました。また、スマホでの申請も新しい機種に限られたそうです。
申請システムにもずいぶんレベルの低いミスがあった様です。一例として挙げられたものに、「2重申請」も可能というお粗末なもの。そのへんにいくらでもある普通の「応募サイト」にも2重応募はブロックされます。また、入力内容に不備があっても、次のステップに進めるシステムにもなっているようです。これも、普通ならば、入力ミスがあればアラート(警告画面)が出て次へ行けない様になっています。事業主向けの給付金の申請もオンラインでの申請がトラブっているようです。
確かに急きょ作ったシステムとは言え、ベースは3000憶円とも言われる税金を投入して作った「マイナンバーシステム」ですが、あまりにもお粗末です。こんなシステムに個人情報がひもづけされるかと思うと恐ろしくなりました。銀行口座をマイナンバーにひもづけする案もありますが、怖くてとても同意できません。さらに、このシステムの主管は総務省ですが、当の総務大臣からはなんの説明もありません。ただ、今の総務大臣なら「市町村の問題」と切り捨てることでしょう。気の毒なのは市町村の職員のみなさんです。
セキュリティ
東京オリンピックに合わせて在宅勤務の準備をしている企業も一部にはありましたが、ほとんどは突然の出来事で、ぶっつけ本番でテレワーク(在宅勤務)に臨んだ会社も多いと思います。それも大企業がほとんどで、中小企業ではなかなか厳しい状況だったようです。ただ気になるのはセキュリティです。大企業の場合、ほとんどは会社支給のパソコンのみ、在宅勤務で使用可としていますが、中には自宅の個人パソコンを在宅勤務で使用している事例も少なくないようです。また、テレビ会議もZoomが多く使われているようですが、セキュリティの脆弱性が指摘されました。会社の売り上げや営業戦略を「のぞき見」される可能性もゼロはありません。顧客名簿などを在宅で使う場合など流出の対策はどこまで出来ているのか、老婆心ながら心配になります。何か月後にデータ流出事故が発覚しなければよいのですが。
ICTレベル
前記のオンライン申請でも述べましたが、どうも我が国のICTのレベルは、他国に比べると、相当遅れていることが今回分かりました。韓国やシンガポール、台湾などに比べると周回遅れかも知れません。ゲームやアプリなど個々の技術は高いのですが、全体をシステム化する様な面で遅れているようです。個人情報や人権などを別にして、単純に技術だけで比べればおそらく中国が1位でしょう。オンライン授業もハード面だけでなく、ソフトや運営面でもまだまだ課題が残ります。特に学校の場合は、自由に使いこなせる若い先生と、基本操作もままならない中高年の先生では差が出てしまいます。
ちなみに、現在の我が国のIT担当大臣は「はんこ議連会長」という、ハンコ屋さん業界の関係者らしいです。ICTとハンコ、今回の在宅勤務でも「ハンコを押しに会社に行く」という方もおられました。官公庁へ出す書類には、社印が必要なのでしょう。この機会にぜひICT対応していただきたいものです。現状ではとても「ICT大国」とは言えません。こういう時こそ、若い人を抜擢して国としてのICTの整備をする時だと思います。今回のコロナで、私たちの仕事や生活にICTが無くてはならない、「社会・生活インフラ」であることが分かったのです。また、大切なインフラでありながら、未熟であることも露呈しました。分かった以上速やかに動いて頂きたいと思います。
おまけ
今回いろいろな「オンライン〇〇〇」というものが生まれました。オンライン飲み会・オンラインスナック・オンラインコンサートなどなど。金額の決済もオンラインで決済できるとのことで世の中には知恵者がいるものです。これがひとつの文化になるのか、今回の一時的なものなのか、見守っていきたいと思います。
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