ヒナは見えませんが、親鳥が盛んにえさをやる為に行ったり来たりしていました。
私の乗っている原付バイクの自賠責保険の更新時期が来たと案内のハガキが届きました。コンビニで支払から保険証書の発行まで、その場で出来る便利な世の中になりました。さっそく、近くのコンビニに行きました。複合機にハガキに書いてあるIDとパスワードを打ち込むと、支払い票が出て来ます。それを持ってレジで保険料を支払う訳ですが、この時対応してくれたのが、大学生と思われるアルバイト店員でした。恐らく、彼にとって自賠責保険の更新手続きは初めてだったのでしょう。まぁ、コンビニでバイクの自賠責保険を支払う人もそんなに多くないのだと思います。多分、パンやお茶をレジに打ち込むのとは違う操作が必要なのでしょう。
支払票とお金を出すと、戸惑った様子でしたが、なんとか保険証書を印刷するパスワードを打ち出してくれました。それを持って再度複合機に行き、パスワードを打ち込むと保険証書が印刷されて出て来ます。本来は印刷用のパスワードをくれる時に合わせて、ナンバープレートに貼る証紙と事故が起きた時の手続きなどが書かれた小冊子をくれるのです。私は、準備してくれてるのだろうと思い、先に証書の印刷をしたのです。レジに戻ると証紙と冊子はまだ出ていません。その時アルバイト君は、別のレジで接客中でしたので、別の店員(たぶん先輩)に証紙と冊子をもらっていない事を告げました。すぐにアルバイト君を呼び、渡していない事を確認するとすぐに準備してくれました。私は、他の買い物もあったので、レジ付近をうろうろしていましたが、店員とアルバイト君の会話が聞こえてきました。
聞いていると、この保険更新を処理するシステムは客にも店側にも良く出来ているシステムだと分かりました。私にとっては、案内に従って操作をしていくだけの分かりやすい仕組みでした。一方、店側に対しては、アルバイト君の様な慣れない人にも操作出来る様な仕組みになっていている様で、支払票を出す時に「証紙と冊子を渡す」という様なメッセージ画面が出るようです。聞いていると、どうやらアルバイト君はこの表示を見落としていた様でした。先輩店員が保険更新の手順をもう一度説明しながら、証紙を渡す時は有効期限を再確認して渡す様再度徹底していました。
この時のアルバイト君の聞いている態度を見て、私は感心しました。先輩店員が、手順の説明を始めると、胸のポケットから小さいメモ帳とペンを取り出し、一生懸命書きとめているのです。おそらく、アルバイトをしている間には、保険の更新など何回もあるケースではないのでしょうが、ミスをしたことを真剣に受け止めて、「次はミスをしないぞ」という意気込みが伝わって来ました。これこそが、私がいつも実習に行く前の生徒や訓練生に言っていることなのです。私は実習に行く時には、ポケットにノートかメモ帳とペンを入れておくようにいつも言っています。上司の指示や注意事項などを書きとめておく為です。これが、なかなか出来ていない人も多いのです。
私は、彼なら就職もうまくいくだろうし、会社に入ってもすぐに仕事を覚えるだろうと思いました。いくらアルバイトとは言え、自分の仕事に責任を持ってやっている事に好感を持ちました。この時に、思い出したのが、以前も書きましたが、イベントの交通整理をしていたアルバイト君でした。私が「何のイベントをやっているのですか」と聞くと彼は「ここへ行けと言われて来ているだけなので分かりません」と言いました。この時私は、彼は多分まともな就職は出来ないだろうなと思ったのでした。アルバイトとは言え、取り組む姿勢の違いで、このような違いになるのです。
言われた事だけをやっている人と、常に「どうすればもっと早く出来るか」とか「他にもっと良い方法はないか」など考えながらやっている人には、当然差ができるのです。よく単純に「格差是正」と言われます。同一労働同一賃金とか言う前に、この様な努力を正しく評価してあげる事が、本当の「働き方改革」だと思います。「努力が報われる社会」、現実は厳しいようです。