先週に続いて、ウォーキングコースの写真です。遊歩道を抜けて農道を歩いていくと、川の土手に出ます。名前は知りませんが、今黄色い外来種がたくさん咲いています。見た目にはきれいなのですが、ここ数年ずいぶん増えました。元々の生態系に影響が出ないのか心配です。
まず、先週の「支援員のスキルアップを!!」の補足をしておきます。支援員の中でもジョブコーチ(職場適用援助者)という方々は、定められた研修を受けた公式な有資格者です。就労支援の事業所の職員の中でもこの資格を有している所もたくさんあります。極端な事例で説明しましたが、すべての事業所がそうではありません。事業所を選ぶ時に「ジョブコーチは居ますか?」と聞いてみても良いかも知れません。
企業の事をあまり良く知らない福祉系の方々は「こんなに働きたい障がい者がたくさんいるのに、なんで企業は障がい者を雇用しないのだろう?」といとも簡単におっしゃいます。昨年の6月現在で、法定雇用率2.0%(今年4月からは2.2%)を守れているのは、やっと50.0%で、はじめて半分になっただけです。事業所で利用者を受け入れるのと、企業が人を雇用するのとはまったく違うのです。
事業所が利用者を受け入れれば、国からお金がもらえます。しかし、企業が人を雇用しても原則、お金はもらえません。先週配信したメールマガジンで「障害者の経済学」の著者である、慶応大学の中島隆信教授の記事にもあるとおり、今の日本の障がい者雇用施策には大きな欠点があります。一言でいえば「中小企業に対する支援」が足りないのです。ご存じのように法定雇用率が未達成の企業は不足ひとりについて、月額5万円の納付金を納めなければなりません。逆に法定雇用率を超えて雇用している場合は、ひとり超える毎に月額27000円の調整金がもらえます。
納付金は罰金と勘違いされる事がありますが、決して罰金ではありません。達成出来ていない企業に経済的な公平性を求めているものなのです。また、納付金を納めたからといって、雇用義務がなくなる訳でもありません。
少し脱線しましたが、昨年の雇用率でみると、従業員1000人以上の大企業の雇用率は2.16%と法定雇用率をクリアー出来ています。さすがに、企業の力の差でしょうか。一方、従業員50人から99人までの典型的な中小企業では、雇用率が1.60%と未達企業が大多数なのです。つまり、経済力のある、大企業は法定雇用率をクリアーしたご褒美として、調整金が入り、不足している中小企業は納付金を納める事になります。つまり、中小企業の納付金が大企業へ流れていくのです。法定雇用率は企業規模に関係なく一律なので、この様な理不尽な構図が出来てしまいます。
つまり、障がい者雇用に経済的な支援が必要な中小企業が支払った納付金を、経済的に余裕のある大企業が調整金という名目で受け取っているのです。もちろん、大企業も努力して障がい者を雇用しているのは事実です。しかし、障がい者を雇用したくても、経営的に出来ない中小企業はたくさんあるのです。就労移行・継続支援と謳っていながら、大した支援活動もせず単に「居場所を提供しているだけ」の事業所にも給付金が支払われている一方で、中小企業には一部を除いて大した助成はありません。また、税制面でも社会福祉法人の様な、優遇税制を受けられるわけでもありません。
さらに3年以内には法定雇用率が0.1%アップされます。これにより、障がい者の雇用義務の対象が現在の従業員45.5人から43.5人へと拡大されます。この様に中小企業への負担が増えるのに、必要な助成が伴いません。就労支援の事業所には、利用者一人につき1日5000円から8000円程度の訓練等給付金が支給されています。尊敬する日本理化学工業の大山会長が言っている様に、福祉のお金を少し中小企業に回すだけで改善されるはずです。1日3000円でも、中小企業に助成してあげれば、障がい者の雇用は劇的に改善されると思います。就労する人が増えれば、就労支援の給付金を減らせる訳ですから、プラスの方が大きいのです。国からお金をもらっていた人が、「納税者」に変わるのです。(個人的には、障がいのある人の所得税は年収で300万円程度は非課税で良いと思います ) マイナスがプラスになるのです。社会保障費の削減にも寄与できるのです。行政はどうもこの様な単純な計算も苦手な人が多いとお見受けしました。