写真は今朝のウォーキングの途中で写したものです。冬の間水を抜いていた、ため池も今は水を満々とたたえて水鳥も戻って来ました。この様な自然の風景はいつまでも残しておきたいものです。
私が現役の時にやっていた仕事はメーカーでのモノ作りでした。難しい言葉を使うと生産技術や品質管理などの仕事を会社勤めの大半の期間、携わってきました。やさしく言えば「良い物を、安く、大量に作る」仕事です。自称プロでもあります。現在の活動を始めた頃、これらの経験を生かして、事業所の生産性を上げるのに、お手伝い出来るのではないかと思いました。生産性を上げる事で、工賃を増やせると考えたからです。
いくつかの事業所を訪問して、作業現場をみせてもらいました。思った通り、改善の余地がどの事業所も山ほどありました。少し、レイアウトを変えるだけで人の動線が良くなり、無駄な行き来が無くなる事、ボトルネックになっている機械を増やすだけで、生産量が2倍くらい増やせることなどを提案しました。しかし、ほとんどの事業所では受け入れてもらえませんでした。
理由のほとんどが、「今のままが一番いいんです。やり方を変えるとこの子たちが混乱してしまいます。この子たちにとって、明日も明後日もずっと同じ仕事をしている方がいいのです」と言うものでした。また、「沢山作れても売れ残るだけ、沢山作る必要も無いのです」とも言われました。つまり、沢山作って、沢山売って、沢山稼いで工賃を増やす、と言った発想が乏しい様に思いました。やはり、企業の考え方と福祉の考え方の違いなのかと思った次第です。
しかし、パンやクッキーを焼いている福祉系の事業所でも、2万円以上の工賃を稼いでいる事業所もたくさんあります。そういう所はやはり、施設長が私と同じような考え方を持っていました。販路を広げ、沢山作って、沢山売れば工賃は上げられる事を実践されています。日額500円、600円の世界があたり前と思ってしまう所が怖いところです。
なぜ、この様な事を何度も言うかという根拠を説明します。障がいをもった人たちが、自立して生活するには、月額12万円前後が必要と言われています。(地域差もあります。都市部では無理かも知れませんが) 障がい年金との差額分、4-5万円は自力で稼ぐ必要があるのです。この為に事業所での工賃が上げられれば、この差が埋まります。1万円から4万円はいきなりは無理でしょう。しかし、4万円と言う目標が見えれば、近づける事はできると思います。「今のまま」では絶対に何も改善されません。がんばれば、必ず工賃は上げられる。こう信じて、もう一度、工賃アップに取り組んで頂きたいと思います。